ビーチ・ボーイズ ブライアン・ウィルソンの死。訃報が続く中、ミュージシャン・近田春夫と作家・適菜収が音楽体験の原点を語る!【近田春夫×適菜収】
【近田春夫×適菜収】新連載「言葉とハサミは使いよう」第4回
■忌野清志郎とブッカー・T
適菜:中学生のときにRCサクセションをよく聴いていたんです。ちょうどタイマーズの頃です。洋楽を聴くようになってからRCはあまり聴かなくなってしまったのですが、高校生になってからあらためて聴いたらやっぱりカッコいいなと。RCのネタ元はイギリスのロックもありますが、スタックスだったり、そういうのが多いですよね。だから、RCを経由して聴いたソウルも多いです。ウィルソン・ピケットとかオーティス・レディングとかアルバート・キングとか。
近田:なるほど。俺はRCというとデビュー曲「宝くじは買わない」が好きで買ったんだけど、ロックというよりフォークのイメージが強かったかなぁ?
適菜:初期のRCはフォークですね。私は『シングル・マン』を一番聴いたかもしれません。最初の曲はタワーオブパワーが参加していて、たしか星勝が編曲で。
近田:そうそう。星勝さんは結構、渋い仕事してたよなぁ。しかし適菜収、詳し過ぎ! 下井草(本連載本編対談の構成者)もいろいろ詳し過ぎだけど、負けてないね。
適菜:いえ。好きな曲はそうかもしれませんが、日本の音楽の全体のことはあまりわかっていません。そういえば、井上陽水と清志郎の「帰れない二人」の編曲も星勝ですね。モップスのベースだった人が中古自動車の会社をやっていて、一度会ったことがあります。
近田:三幸太郎さん?
適菜:太ったおじさんでした。名前は忘れてしまいました。
近田:じゃあ、初代の方かも。
適菜:スタックスで思い出したのですが、近田さんのブッカー・Tの「Melting Pot」の演奏(https://x.gd/pquHR)、カッコいいですね。
近田:あ、それは嬉しい。
適菜:実は私、ブッカー・Tは苦手でしたが。
近田:え! ブッカー・T、苦手だったんだぁ! 信じらんない。
適菜:個人的な事情です。
近田:そんなものがあったんだぁ!
適菜:学生時代の知り合いでMG’sを神格化している奴がいて、そいつへの反発があったのかもしれません。
近田:あ、そういう事情ね。忌野清志郎もブッカー・Tと録音してたよね。
適菜:清志郎がはしゃいでいて。「ついにメンフィスに来た」みたいな。私がMG’sを知ったのは、中3くらいの頃で、エリック・クラプトンのビデオを借りてきたら、ダック・ダンがベースを弾いていた。
近田:それは見てないわ。俺さぁ、ブッカー・Tの仕事で好きなのはウィリー・ネルソンの「Stardust」だなぁ。すんごくシンプルでさぁ。カントリーの大御所ってのがなんか渋い組み合わせで!
適菜:今、ユーチューブで聴いています。いいですね。
近田:本当にいつ聴いても新鮮。このLINEのやりとりもアップしますか?
適菜:じゃあ、私がまとめておきます。でも、このままだと短すぎるので、追加でLINEでやりとりをするのはどうでしょうか。近田さんが学生のころの音楽事情についても聞きたいですし。